研究テーマ
「画像情報学で医療の未来をささえる」 医療や医学研究の現場で使用されている画像の情報量は年々増加の一途をたどり、もはや人間の視覚だけでは処理しきれない水準まで達しようとしています。たとえば、画像診断における一患者の検査あたりの画像の数は数百〜千程度まで及びます。
そこで、コンピュータを用いて膨大な量の画像データから重要な情報を抽出、整理してわかりやすく提示したり、複数の情報を組み合わせて新しい画像情報を創出したり、などの医用画像を対象とした情報処理技術に大きな期待が寄せられています。 |
![]() 様々な画像情報が医療をささえる |
拡散MRI
拡散MRI(Diffusion MRI: dMRI)とは磁気共鳴イメージング法の一種であり、生体内の水分子の動きを画像として捉えることのできる拡散強調イメージングを用い手法の総称で、生体内の様々な情報を取得することができます。例えば、水分子が神経束などの線維構造に沿った方向によく移動し、その垂直方向にはあまり移動しないといった性質に基づき線維の走行方向が推定でき、その情報に基づいて神経の走行を可視化したものはTractography(線維束像)と呼ばれます。さらに、様々な方向の拡散計測に基づいて適切な信号値モデルを使用することで、神経線維の方位分散(NODDIモデル)や軸索のサイズ(AxCaliberモデル)も推定できるようになってきました。 当分野では、拡散MRIにおける信号値モデルや神経束構造の推定方法に関する技術の研究を行っています。拡散MRIの様々な信号値モデルのパラメタを深層学習で頑健に推定する方法のほか、新しい信号値モデルの創成についても取り組んでいます。また、これらの研究成果に基づく拡散MRI解析のためのオリジナルソフトウェア「diMaRIA」を公開し、医学系、工学系の様々な研究に応用できるよう提供しています。
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解剖構造モデリングおよび生理現象シミュレーション
撮像した医用画像に基づいて人体内部の解剖構造をわかりやすく医師に提示したり、医用画像理解を行うコンピュータの機械学習に使用したりする場合、形状や構造などの形態を様々な形式で表現する必要があります。特に人体の構造物には個体差があり、統計的な表現を用いることが有効です。自動、あるいは対話的な処理による医用画像の認識結果に従って、適切な表現形式で解剖構造をモデリングし、そこで発生する生理現象をシミュレーションすることは、実際の医療に応用する上で重要となります。 |
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卒業論文・修士論文テーマ
拡散MRIにおけるNODDI信号値モデルのためのデジタルファントムの作成と評価 | R6年度卒業研究 | |
生成型Q空間学習の損失関数におけるパラメタ誤差と信号値誤差の比較 | R6年度卒業研究 | |
生成型Q空間学習によるモデルベースDWIデノイズ技術の開発と評価 | R6年度卒業研究 | |
時系列肺MRIの学習による任意時相の画像生成:デジタルファントムによる基礎的検討 | R6年度卒業研究 | |
コホートデータにおけるNODDIモデルパラメタの推定:生成型Q空間学習とAMICOの比較 | R6年度卒業研究 |
血流および換気の位相推定に基づく時系列胸部MR画像のレジストレーション | R5年度卒業研究 | |
前処理を必要としない新しい拡散テンソル計算法の評価 | R5年度卒業研究 | |
生成型Q空間学習によるIVIM-DKIモデルパラメタの推定 | R5年度卒業研究 | |
自由形状による制限下の拡散シミュレーションおよび拡散パラメタの計算 | R5年度卒業研究 | |